2015年03月16日

第221回らくわ健康教室【介護版】
「介護予防は外出から?! 〜アンケート調査からわかった外出の効果〜」

2014年12月9日開催のらくわ健康教室は、「介護予防は外出から?! 〜アンケート調査からわかった外出の効果〜」と題して、京都市朱雀地域包括支援センター 副係長で介護支援専門員の梶田 知佳子(かじた ちかこ)が講演しました。

概要は以下のとおりです。

ブログ用IMG_8458.jpgはじめに

地域包括支援センターをご存じですか? 高齢になっても住み慣れた地域で安心して在宅生活が送れるよう、介護保険制度の下で2006(平成18)年に創設された市町村の総合相談窓口です。京都市では「高齢サポート」の愛称で、各中学校区に1カ所ずつ、計61カ所のセンターがあり、市から委託を受けた事業者が運営しています。本日は、センターの活動から見えてきた介護予防と外出の関わりについてお話しします。

高齢者の定義と現状

高齢者とは、何歳以上だと思われますか? 国の制度などによると、一般的には65歳以上の人を指しています。しかし、内閣府の意識調査によれば、「70歳以上」と思う人が42.3%と多いです。
日本は、国民の4人に1人が65歳以上の「超高齢社会」です。高齢化の進行は急激で、2050年には高齢者1人を64歳以下の国民1.2人が支える「肩車型」社会が到来します。国は、支える側に回ってもらえる高齢者を増やす環境づくりや子育て支援に取り組むことが重要と考えています。
※以下の画像は全てクリックすると大きいサイズで見ることができます。

スライド11.jpg

スライド12.jpg

一人暮らしの増加

高齢化の進展とともに、一人暮らしの高齢者も増えています。そこで京都市では、2012(平成24)年度から「一人暮らし高齢者全戸訪問事業」「地域における見守り活動促進事業」を始めました。地域包括支援センターの職員が直接高齢者のお宅を訪問して、日常生活上での困りごとや、緊急連絡先(任意)を伺い、民生委員など地域関係者と情報共有をしています。
京都市朱雀地域包括支援センターの場合、6人の職員で訪問していますが、管轄区域内の一人暮らし高齢者は1,900人もおられ、全て回りきれていないのが実情です。

スライド13.jpg

訪問を始めて

全戸訪問を始めて気が付いたことは、「65歳は高齢者ではない」ということでした。たくさんの方が仕事をしておられました。仕事のほかにも、意欲的に趣味活動やサークル活動、ボランティア活動をされていました。
ちなみに、日本では、15歳以上の全従業員のうち、65歳以上の占める割合は10.1%、65歳以上の就業率は20.1%で、主要8カ国で最も高い水準でした。

一人暮らし高齢者アンケートから

一人暮らしの高齢者で、介護給付を利用されていない方118人を対象に、以下のようなアンケート調査を行いました。(調査期間は2012年12月〜2013年5月)

  • 趣味の有無
  • 役割の有無:
    家事、仏壇の世話、留守番、家族の世話、ペットの世話、町内での役割(役員、道路の掃除、地蔵の世話など)、植木の世話、金銭管理をしている、そのほか。
  • 主観的健康観の変化:
    昨年の今頃に比べて、良い、変わらない、悪い。

スライド23.jpg

スライド22.jpg

主観的健康観とは

主観的健康観とは、自らの健康状態を主観的に評価することです。生活の質を高めるための重要な要素で、生存率や平均余命にも影響すると考えられています。
主観的健康観が良い・変わらないと答えた方(維持・改善群)と、悪いと答えた方(悪化群)を比較すると、以下のような結果になりました。

スライド25.jpg

スライド26.jpg

スライド27.jpg

アンケートの結果について

趣味・役割をいかにもつかが、介護予防の鍵であると分析されました。
人付き合いがあまり得意でない方も、一歩外に出て、

  • 門掃きを毎日する
  • 庭木の手入れをする
  • 新聞を取りに行く

など、家の外の空気を吸うことをお勧めします。

外出することで

  • 体力がつく(運動機能維持向上)
  • 頭を働かせることができる(認知機能維持向上)
  • 気分転換ができる(うつ病予防)
  • 一人ではないことが分かる(孤独感の解消)
  • 自分の存在を周りの人に分かってもらえる(孤立化を防ぐ)

実際の事例から

ある一人暮らしの高齢男性は、毎朝、新聞受けで新聞をとること以外、家から出ることがありませんでした。その時間はちょうど、おとなりの奥さんが門掃きしており、奥さんは必ず「おはようございます」と声掛けをされていました。10年間、おとなりとの会話はこれだけでしたが、10年後のある朝、男性から「ヘルパーさんに来てもらうにはどうしたらいいんやろ」との相談が奥さんにありました。おとなりからの連絡で地域包括支援センターが男性と連絡を取り、週2回のヘルパー訪問やデイサービスの利用につなげることができました。男性は今では楽しく暮らしておられます。おとなりの奥さんとの朝のあいさつがなければ、孤立したままだったと思われる一例です。

こんなことを聞いたことがあります

高齢者には、特に「きょういく」と「きょうよう」が大切です。

  • 「きょういく」とは → 「今日行く」ところがあるということ。
  • 「きょうよう」とは → 「今日用事がある」ということ。

健康寿命を延ばしましょう

健康寿命とは、「健康で自立した日常生活を送れる期間」のことです。2010(平成22)年の統計では、平均寿命と健康寿命の差は、男性で9.13年、女性で12.68年あります。この差の年数は、誰かのお世話になっている・介護を受けている期間と考えられます。

  • 健康な期間が長くなれば → 本人にとっての幸福につながります。
  • 国民の健康増進が進めば → 医療・介護関連の予算の抑制にもつながります。

スライド35.jpg

介護予防の鍵は

  • 役割をもって生活すること
  • 楽しみをもって生活すること
  • 人と交流すること
  • 外出すること

健康で生き生きとした生活を送るため、1日1回、家の外に出て人と会話する。そこから始めていきましょう。

高齢サポートでは

高齢サポート・朱雀では、権利擁護セミナー、認知症予防教室などを開催しています。府県や市町村でも、介護予防教室、すこやか講座、生き生きサロン、サークル活動、ボランティア活動など、さまざまな事業に取り組んでいます。
楽しみの場や活動の場は常にあります。ぜひお出掛けください。


ほかのらくわ健康教室の記事はこちら⇒らくわ健康教室 講演録3



カテゴリー:らくわ健康教室 介護版 | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。