2015年03月30日

第223回らくわ健康教室【介護版】
「医療リハビリから介護リハビリへ 〜短時間デイサービスの役割〜」

1月6日らくわ健康教室は、「医療リハビリから介護リハビリへ 〜短時間デイサービスの役割〜」と題して、洛和デイセンター醍醐駅前 理学療法士の向井 千恵(むかいちえ)が講演しました。

概要は以下のとおりです。

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「リハビリ」は、正式には「リハビリテーション」と言います。運動というイメージが強いようですが、本来は「再び適した状態になること」「本来あるべき状態への回復」を意味します。本日は、病院で行われるリハビリテーション(以下、リハビリ)と介護施設やご自宅で行うリハビリの違いなどについてお話しします。

リハビリの流れ

  • 急性期リハビリ:
    病気やけがをしてすぐ、治療と並行して行うリハビリ。
  • 回復期リハビリ:
    体の機能回復を主とするリハビリ。
  • 維持期リハビリ:
    現在の状態を維持するためのリハビリ。

リハビリは、病院に入院中や、病院に通院しているとき、施設に入所しているとき、ご自宅で、作業・理学療法士などとともに行います。リハビリを受けるには、医師の指示が必要です。病気やけがの程度、状態により、リハビリの時間や運動量が指示されます。リハビリは、医師の指示に応じて理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が担当します。

病院でのリハビリ

医療保険が適用されます。病気やけがをした日、または手術後から実施し、1日に最大で6単位(1単位は20分間)を実施します。
医療保険によるリハビリは、入院、通院を問わず最短で90日、最長で180日という日数制限があります。リハビリを受けることができる日数は、病気やけがの程度によって変わります。日数制限の期間を超えると、医療保険ではリハビリが受けられなくなります。(以前は日数制限がなく、何年間でもリハビリを受けることが可能でした)
医療保険によるリハビリが適用されなくなった方が利用できるのが、介護保険によるリハビリです。

介護保険によるリハビリ

介護保険は、地域に在住する40歳以上の方々を介護保険の加入者として保険料の納付を受ける制度で、被保険者に介護が必要となった場合には、介護保険サービスの給付を行います。
介護サービスを受けるためには、要介護認定の申請を行う必要があります。認定は(不認定を除けば)軽いほうから、要支援1、2、要介護1〜5の7段階に分かれます。介護認定の後、介護保険によるサービスが利用できます。リハビリに関しては、通所リハビリと訪問リハビリを利用できます。

通所リハビリと訪問リハビリ

通所リハビリは急性期のリハビリを終え、維持期のリハビリを必要とされている方が対象です。ご自宅から病院や診療所、介護老人保健施設に通い、機能回復訓練を受けるサービスです。
訪問リハビリは、通院が困難な利用者さまに対して、可能な限りご自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、理学療法士などがご自宅にて心身機能の維持回復や日常生活の自立に向けたリハビリを行います。

※以下の画像は全てクリックすると大きいサイズで見ることができます。

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医師の指示

通所リハビリも訪問リハビリも、医師の指示・診断が必要です。理学療法士法には、「医師の指示のもと」という規定があります。ただ、これは、理学療法士などによる1対1のリハビリに必要な場合で、医師の指示がなくてもできるリハビリもあります。それが短時間型デイサービスです。

短時間型デイサービス

短時間型デイサービスの概要は以下のとおりです。

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短時間型デイサービスの利点は、時間が短いことや、明確な目的を持って取り組むこと、医師の指示書がいらないことです。一方弱点は、理学療法士がいても1対1のリハビリが受けられないこと、入浴と食事がないことです。
短時間型デイサービスで理学療法士は、運動の方法などを指導・助言したり、個別の運動メニューを作成したりしています。

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短時間型デイサービスの事例紹介

90歳の男性(要支援2)が、短時間型デイサービスによるリハビリを希望されました。主病名は、加齢による両下肢筋力低下と左足痛(原因不明)です。ご本人は「4点歩行器使用中なので、下肢の筋力トレーニングをしたい」「外出の機会を増やしたい」とのご希望でした。

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  • 運動内容:
    両下肢の筋力トレーニングや、マシントレーニング、歩行練習(平行棒、T字杖)、下肢のストレッチなどを行いました。
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  • 2週間後:
    T字杖歩行での安定性が向上し、4点歩行器は使用されなくなりました。独歩にて、歩行練習を開始しました。
  • 1カ月後:
    屋外は、T字杖使用(使用を忘れることあり)、屋内は独歩できるようになりました。

ご自宅でできる簡単リハビリ

ご自宅でできる簡単なリハビリを紹介します。(症状がひどい場合は無理をせずに、かかりつけ医などに受診してください)

  1. 階段の昇り降りがしにくい場合:
    太ももとふくらはぎの筋肉を鍛える運動をしましょう。
    立って、膝を軽く曲げた後、元の姿勢に戻る「スクワット」がお勧めです。ゆっくり曲げ伸ばしすることが重要で、1日10回、曲げ伸ばしするだけでも効果が出ます。
  2. 膝が痛い場合:
    高齢女性はO脚になりやすくなります。太ももの内側と前面の筋肉を鍛える運動をしましょう。
    いすに浅めに腰を掛け、膝を閉じて座ります。しばらくした後、ひざを伸ばして空中で5〜10秒間我慢します。その際、つま先が上を向くようにそらします。回数は気にせず、気が向いたときに行ってください。
  3. いすから立ちにくい場合:
    いすに浅めに腰を掛けます。足を肩幅に開いた後、つま先が膝下に隠れるあたりまで引き、ゆっくりお辞儀をします。お尻が持ち上がってきますので、ゆっくり円を描くような気持ちで立ち上がります。
  4. 勢いよく座ってしまう場合:
    「ドスン」と座った衝撃で背骨が折れてしまうケースは珍しくありません。それを防ぐためにも、ゆっくり座る工夫をしましょう。
    まず、立った状態でお辞儀をします。左右どちらかの手をいすの肘掛けか座面につき、ゆっくり座ります。両手でできれば、体重の分散といすの位置の確認ができて、より安全です。

質疑応答から

Q:医師の指示のない短時間デイサービスで、理学療法士は何をしてくれるのですか?
A :デイセンターでは、利用者さまの体力や生活状況などを伺ったあとで、リハビリの提案をします。1対1の指導ではありませんが、リハビリ中に手を添えたり、体を支えたりすることはできます。

Q:下半身の指導が多いようですが、上半身はしなくていいのですか?
A :上半身の運動ももちろん必要です。ただ、ご自宅のテレビの前で長い時間座ったままの方が多く、下半身の筋力が弱まるケースが多いのも事実です。

Q:短時間デイサービスは、介護認定されない人は利用できないのですか?
A :はい。残念ですが利用できません。介護保険で運営されているためです。利用料は、介護認定の程度や運動時間によって違いますが、介護保険が適用されます。

Q:介護認定されない人で、筋力低下が心配な人はどうすればいいですか?
A :ご自宅の中学校区内にある地域包括支援センターで、体操教室などの健康づくりの取り組みをしているところがありますので、聞いてみてください。当会では、「洛楽フィットネス」という教室(有料)も開いています。


ほかのらくわ健康教室の記事はこちら⇒らくわ健康教室 講演録3

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