2015年05月16日

第225回らくわ健康教室「ご存じですか? がん相談センター 〜より自分らしい生活が送れるように〜」

1月20日開催のらくわ健康教室は「ご存じですか? がん相談センター 〜より自分らしい生活が送れるように〜」と題して、洛和会音羽病院 医療介護サービスセンター がん相談センター 主席係長で臨床心理士の相田 貴子(あいだ たかこ)が講演しました。

概要は以下のとおりです。

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一人ひとり生き方が異なるように、自分らしい生活、自分らしいがんとの向き合い方があります。がんの治療法も1つではなく、人それぞれです。しかし「自分にとって最良の選択をしたい」という思いは皆同じです。
「最良の選択」とは、「あなた自身が一番納得できる方法を選ぶ」ということにほかなりません。たくさんの意思決定場面で、一つひとつ決めていく過程が、自分らしい生活やがんとの向き合い方を形づくっていきます。そのなかで、新たに気付くことや出会う人があります。「自分はどうしたいのか?」を考えることが大切です。

(出典:「がんになったら手に取るガイド」国立がん研究センターがん情報サービス)

京都府のがん対策

がんは、今や生涯のうち2人に1人がかかる病気で、京都府でも1年間で約16,000人の方が、がんと診断され、今後も患者さまの増加が予想されます。京都府はがん対策を推進するため2011(平成23)年に「京都府がん対策推進条例」を制定しました。条例推進計画の4つの柱は、以下のとおりです。

  1. 予防(たばこ対策・子宮頸がん予防ワクチン・肝炎検査・治療など)
  2. 早期発見(検診受診啓発、受診しやすい環境づくり、検診従事者育成など)
  3. 医療体制(拠点病院整備、医療従事者養成、緩和ケア普及など)
  4. 情報提供・支援(相談支援センター、患者会・サロン、がん関連の情報提供など)

(出典:「がん患者・家族のための京都府がん情報ガイド」国立がん研究センターがん情報サービス)

信頼できる情報と窓口とは

情報はあなたの力です。正しい情報を得ることが、今後の方針になります。がんの情報を集める時には、いくつかの気を付けるポイントがあります。

<がんの情報探しの10箇条>

  1. 情報は「力」。あなたの療養生活を左右することがあります。
    不確かな情報に惑わされず、信用できる情報を活用しましょう。
  2. あなたにとって、今必要な情報は何かを考えてみましょう
  3. あなたの情報を一番多くもっているのは担当医。よく話してみましょう
  4. 別の医師に意見を聞く「セカンドオピニオン」を活用しましょう
  5. 医師以外の医療スタッフにも相談してみましょう
    看護師、ソーシャルワーカー、薬剤師、栄養士なども貴重な情報源です。
  6. がん診療連携拠点病院のがん相談支援センターなど、質問できる窓口を利用しましょう
    病院、患者団体などに相談窓口や情報源があります。
  7. インターネットを利用しましょう
    中には偏ったものや不正な情報もありますので、ちょっとあやしいなと思ったら、がん相談センターにご相談ください。
  8. 手に入れた情報が本当に正しいか、考えてみましょう
    判断には複数の情報を照合したり、担当医に確認してもらいましょう
  9. 健康食品や補完代替療法は、利用する前によく考えましょう
    がんの進行を遅らせたり、取り除くなどの効果が証明されたものは、ほぼ皆無です。
  10. 得られた情報をもとに行動する前に、周囲の意見を聞きましょう

(出典:「がんになったら手に取るガイド」国立がん研究センターがん情報サービス)

<信頼できる情報と窓口>

  1. がんについての基本的な情報を知りたい時:
    国立がん研究センター がん対策情報センターが、「がんになったら手に取るガイド」「私の療育手帳」「もしもがんが再発したら」「各種がん」シリーズ冊子など、多くの出版物を発行しています。
    冊子について詳しく知りたい方は、「患者必携サポートセンター」までご連絡ください。
    電話相談 TEL 0570(02)3410(ナビダイヤル) 平日 午前10時〜午後3時(土日祝除く)

    ※以下の画像は全てクリックすると大きいサイズで見ることができます。

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  2. 幅広く情報を得たい時:
    • 「がん情報サービス」(国立がん研究センター発行 ホームページ:http://ganjoho.jp
    • 「がん患者・家族のための京都府がん情報ガイド」(京都府がん対策推進府民会議情報提供充実対策部会 発行)

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  3. がんについて相談したいとき
    • 京都府の医療機関内に「がん相談支援センター」があります。「洛和会音羽病院 がん相談センター」もその一つです。
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      【表1】がんについて相談したいときの窓口
    • 京都府設置(非医療機関)「京都府がん総合相談支援センター」(TEL:0120(078)394)
    • がん相談ホットライン 公益財団法人 日本対がん協会
      (TEL:03(3562)7830 祝日を除く毎日午前10時〜午後6時 予約不要)
      専門医による、がん無料「面接」「電話相談」があります。国立がん研究センターOB医師や、がん研有明病院OB医師が対応します。
      予約専用TEL:03(3562)8015(平日の午前10時〜午後5時)

相談窓口がある場所

  • 全国の「がん診療連携拠点病院」などや、京都府の「がん診療連携病院」「がん診療推進病院(洛和会音羽病院はこれに該当します)」にあります。
  • 京都府がん総合相談支援センター
    京都府の設置する相談窓口です。保健師や看護師、ピアカウンセラー(がん経験者の相談員)が、医療・福祉相談および経済的問題、生活問題や不安などに関する相談をお受けします(対面の場合は予約優先)。
    受付電話番号:0120(078)394(おなやみきくよ)
    (祝日・年末年始を除く平日の午前9時〜正午、午後1時〜4時)

洛和会音羽病院 がん相談センター

  • がん患者さま、ご家族、医療関係者からのがんに関する相談を受ける窓口です。
  • 国立がん研究センター主催がん相談専門相談員研修を受講した相談員(看護師、医療ソーシャルワーカー、臨床心理士)が対応します。

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相談支援センターは…

  1. あなたの理解を助けます:
    情報を分かりやすく解説します。情報を生かせるようにお手伝いをします。
  2. あなたとご一緒に探します:
    「どうしたら?」「どうして?」を一緒に探したり、解決の糸口を一緒に考えます。
  3. あなたに合った情報を提供します:
    書籍やインターネットなどから情報を提供し、使い方・考え方も一緒に考えます。
  4. あなたの心を支えます:
    あなたやご家族の気持ちを聴きながら、心が穏やかになるように一緒に考え、お手伝いします。
  5. あなたの生活を支援します:
    あなたが病気になった時、生活を支えるための経済的な支援制度や、介護や福祉のサービスを利用する方法、職場や学校、家事や育児などの相談に対応します。
  6. あなたの家族も支えます:
    ご家族の相談も伺いながら、必要な情報の提供や解決の糸口を探すお手伝いをします。ご家族を支えることは、患者さま本人を支えることでもあります。
(出典:「がんになったら手に取るガイド」国立がん研究センターがん情報サービス)

相談支援センターは、患者さまやご家族のほか、地域の方々も利用できます。ただし、患者さまの担当医に代わって治療について判断するところではありません。また、その病院にかかっていなくても、無料で相談できます。(来所または電話相談)

<相談支援センター主催の活動(平成26年度)>

  1. がん患者・家族の集い(年4回開催):
    がん関連の学習会やこころと体によい体験の時間、茶話会・交流会を開催しました。 
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  2. 広報紙「ほっこり」(年4回発行):
    がんに関する情報やお知らせ、がん相談センターの活動報告、がんに関するQ&A集、療養生活のヒント、などを紙面にて発信しました。

みなさまができる支援のヒント

<患者さまとご家族の心とからだに起こること>

  • がんと言われた患者さまの心の変化:
    がんという言葉は、心に大きなストレスをもたらし、特に、がんの再発や病状の進行が分かった時は大きなショックを受け、不安や落ち込みの強い状態が続きます。
    こういった気持ちの変化は、大きな衝撃から心を守ろうとするときに多くの人に起こる反応です。時間の経過とともに、今後の見通しを立てることができ、前向きな気持ちになっていきます。
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    (画像出典:「がんと心」国立がん研究センターがん情報サービス)
  • がんを治療することによって起こるからだの変化(手術、化学療法、放射線):
    治療効果が確認されている治療方法ですが、少なからず体に負担がかかります。
    治療中だけでなく、治療が終わった後も副作用や後遺症が継続することがあり、それらと折り合いをつけながら生活することが必要となることもあります。
  • ご家族にも患者さまと同じように配慮を:
    ご家族にも、患者さまと同じかそれ以上の精神的負担がかかります。患者さまを間近で見ているご家族は、自分のつらさを誰かに相談することをためらいがちです。また、患者さまを支えることに一生懸命で、自分自身をいたわることを忘れてしまうことがあります。このため、患者さまと同じような心のケアが必要となることがあります。
(出典:社会とがん207「身近な人ががんになったとき」国立がん研究センターがん情報サービス)

身近なあなたに心掛けていただきたいこと

がんになった方は、その方が「何かしたから」「何かをしなかったから」というわけではありません。がんについて正しく理解しましょう。病気になってからの時間をどのように過ごすかは、その人の生き方や価値観によってさまざまです。あなたの考え方とは異なっていていたとしても、患者さまやご家族が納得して過ごせることが重要です。
がんという病気になることで、人格が変わってしまったり、その人らしさが失われることはありません。多くの患者さまやご家族は、できるだけこれまでと同じように接してほしいと望んでいます。
患者さまやご家族は、納得のいく選択をしようとしていますが、なかなか結論を出せなかったり、一度決断した後でも「これでよかったのだろうか?」と思い悩んだりすることがあります。自分の意見を言う前に、どんなことが不安なのか、どんなことを迷っているのか、何を大切にしたいと思っているのかなど、患者さまやご家族自身が気持ちを整理できるよう意識しながらお話を聴いてください。
お見舞いに行きたい、お見舞いの品を送りたいと思った時は、まず患者さまやご家族に確認しましょう。体調がすぐれない時には、「病気で弱った姿は見られたくない」と思う人もいます。時には周囲で見守ることも必要です。一方で、病気になってからも自分の事を気に掛けてくれる人がいると感じられることはとてもうれしく力づけられることだったと、多くの患者さまやご家族が振り返っています。電子メールや手紙など、患者さまやご家族が都合の良い時に返事ができる手段を活用しましょう。

(出典:社会とがん207「身近な人ががんになったとき」国立がん研究センターがん情報サービス)

がんに関するご相談は

洛和会音羽病院 がん相談センターまでお電話ください。
電話番号:075(593)4175
※医学や医療の進歩に伴い、情報の内容は変更されることがあります。最新情報は、当センターを含む、京都府のがん相談センター(「【表1】がんについて相談したいときの窓口」参照)にお問い合わせください。


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