概要は以下のとおりです。
◆健康の定義について
WHO(世界保健機関)憲章は、その前文で「健康」について、次のように定義しています。
「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます」(日本WHO協会訳)
◆日本人の食事摂取基準(2015年版)改定
一般成人の食塩相当量の目標値は、以前は10g以下/日でしたが、7.0〜8.0g/日に改められました。高血圧症や生活習慣病の予防には、6.0g未満/日を目標値にすることが勧められています。
病院の場合は、入院患者さまのそれまでの生活状況から食事評価をし、それに基づいて入院中の食事量を計画し、検証や改善を重ねながら食事を提供しています。
◆低栄養とは
以下の6項目のうち、2項目以上に該当する場合を「低栄養」と言います。
- エネルギー摂取不十分
- 体重減少
- 皮下脂肪減少
- 筋肉量減少
- 浮腫
- 機能低下(握力)
◆低栄養の評価
簡易栄養状態評価法という、栄養状態を評価するツールがあります。
身体計測により体重とBMI、体重減少率を確認します。上腕周囲長や下腿周囲長は筋肉量の目安になります。BMIと体重減少率の計算方法は以下のとおりです。
※以下の画像は全てクリックすると大きいサイズで見ることができます。
BMI標準値は22です。体重減少率の見方は、1週間で体重が2%以上落ちたら低栄養が疑われる、という意味です。同様に、1カ月で5%以上なら低栄養を疑います。
上腕周囲長は、21cmを下回ると、筋肉量低下とみなされます。肩と肘の真ん中あたりの上腕で測ります。
下腿周囲長は、30cmを下回ると、筋肉量低下とみなされます。ふくらはぎの一番太いところを測ります。
◆リハビリ病棟では、低栄養患者が多い
回復期リハビリテーション病棟(以下、リハビリ病棟)の入院時、約4割の患者さまは低栄養が疑われています。リハビリ病棟で低栄養の患者さまが多い理由は、疾病発病前から低栄養だった場合や、急性期病院での栄養状態の悪化、リハビリ病棟での不適切な栄養管理などが考えられます。
◆低栄養状態でのリハビリは弊害がある
低栄養状態で積極的なリハビリを行うのは逆効果です。
◆リハビリ効果を高める栄養療法
効果的な栄養摂取にはタイミングが重要です。
リハビリに必要な栄養量は、以下の3つです。
- リハビリ以外にも必要なエネルギー消費量(生存に必要な基礎代謝など)
- リハビリによるエネルギー消費量
- エネルギー蓄積量
このうち、2.と3.のエネルギー量を摂取しなければ、栄養改善は認められません。(あるいは栄養状態は悪化します)
結局、エネルギーの摂取と消費という収支バランスがうまく釣り合っている状態が良い状態と言えます。
◆身体活動量の目安
目安を出すには、以下の式から求められる「標準体重」という指標を使います。
標準体重(kg)=(身長m)×(身長m)×22
必要な摂取エネルギー量は、以下の式から求められます。
標準体重×身体活動量
身体活動量の目安は、以下のとおりです。
◆食事の適量は
適切な食事の量は以下のとおりです。
例えば、体重55kgの人で身体活動量が「適度(30Kcal)」の人は、55×30=1650Kcalが1日の適正エネルギー量です。
食事は、栄養バランスの良い取り方をしましょう。5大栄養素である
- たんぱく質
- 脂質
- ミネラル
- ビタミン
- 糖質
をバランス良く取ることが大切です。量的には、主食(糖質)が全体の半分程度、以下野菜、おかず(肉や魚)、果物、油などをまんべんなく取ってください。
◆食事の取り方
- 毎日、規則正しく続ける
- 1日3食、なるべく同じ時間に
- 欠食をしない
- 無理をしない
- 迷信や民間療法を信じない
- 健康食品に頼り過ぎない:
これさえ飲めば…などの宣伝は「本当かな?」と思ってください。健康食品やサプリメントと言われる食品のなかには、さまざまなタイプがありますが、取りすぎは良くありません。病院でもらった薬と一緒に飲むと害があるものもあります。
◆正しい「野菜ジュース」とは
食品の表示チェックも大切です。例えば「野菜ジュース」の場合、法律では100%でないとジュースと表示できません。ジュース以外の名称としては、ドリンク、サワー、ミックスシェイク…などさまざまなものがありますが、本来のジュース分は少ししかないものもあります。
◆塩分の取りすぎ 超簡単チェック法
以下の方法で、簡単にチェックできます。
◆減塩のコツ 9カ条
- 新鮮な材料を使う
- 香辛料を上手に使う
- 酸味を利用する
- 加工品を減らす
- 焼き味、こげ味をつける
- 麺類は汁を残す
- 塩分が少なくてすむ調理法を学ぶ
- うまみを利用する
- 献立にメリハリをつける
◆おわりに
健康的な生活を楽しむためには、栄養・運動・休息のバランスを適正に保つことが必要です。「おいしく」「楽しく」続けることで、健康寿命を伸ばしましょう。