概要は以下のとおりです。
◆はじめに
日本では、年間100万人前後の赤ちゃんが生まれています。一人の女性が生涯に産む子どもの数(合計特殊出生率)は1.43人(2014(平成24)年)ですので、初めて出産するお母さんも多いのが現状です。正しい知識を身に付けて、安全なお産を心掛けましょう。
◆情報をどこで手に入れるか?
インターネット(以下、ネット)全盛の現代は、多くの人が情報をネットに頼っています。妊娠や子育てに関する情報も同様です。ネットのメリットは、いつでも、どこでも利用できることです。悩み事に誰かが答えてくれるサイトもあります。半面、ネットのデメリットは、「実際にあなたを診ているわけではない」ということです。ネットで得られた情報が、本当にあなたの体の状態に合っているかは分かりません。メリットとデメリットをよく理解して活用しましょう。
◆妊婦健診って何?
妊娠が分かり、病院で届出書をもらって、住民票のある市区町村に届け出ると、「母子健康手帳」が交付されます。妊婦健診の案内などとともに、子育てのアドバイスを載せている自治体もあります。妊婦健診では以下の項目の検査をします。
- 体重:
妊娠中の体重の変化を記録します。 - 血圧:
妊娠すると血圧は少し下がります。中には逆に上がる人もいて、妊娠高血圧症候群(以前は妊娠中毒症と言いました)などの目安となります。 - 尿:
尿タンパク、尿糖の値を調べます。妊娠高血圧症候群になると、尿にタンパクが出ます。 - 超音波:
おなかの赤ちゃんの動きや大きさ、心臓の鼓動、胎盤の位置、羊水の量などを診ます。 - 内診:
膣に指を入れて、おりものや、子宮の入り口の状態を調べます。 - 採血:
妊娠中に約3回採血を行い、貧血の程度や血糖値、感染症の有無などを調べます。
◆妊娠初期
※以下の画像は全てクリックすると大きいサイズで見ることができます。

一般的には「妊娠○カ月」という言い方をされますが、私たち医師は、「○週」と週数で数えます。超音波検査で赤ちゃんが分かるようになるのは6週くらいからですが、最近の妊娠検査薬はとても精度が高く、早い週数で来られる妊婦さんが多くなりました。8週ぐらいになると、赤ちゃんの大きさもしっかりわかるようになり分娩予定日を決めます。12週ごろになるとつわりが治まってきて、安定期に入ります。
◆妊娠中期
20週ぐらいからお母さんは、胎動を感じるようになります。子宮が収縮して硬くなると、おなかが張った状態ということで、注意が必要です。20〜25週ぐらいになると、赤ちゃんが目を開けたり、しゃっくりをするようになります。
超音波で、頭の横幅や、お腹周り、太ももの骨の長さを測ります。この3つの数字を計算式に当てはめると、赤ちゃんの体重が推計できます。
赤ちゃんの体重は、平均より多いか少ないかだけではなく、週数に沿って右肩上がりに成長していることが重要です。ただし、グラフの曲線から大きく離れて体重の多い・少ないがある場合は、何か問題がある可能性があります。
◆妊娠後期
28週ぐらいになると、骨盤や恥骨が痛くなる人が多くなります。これは、骨盤ベルトの着用で軽減されることもあるので、着用を勧めています。37週からが正期産とされており、36週と6日までに産まれると早産と呼ばれます。
◆経膣分娩か帝王切開か
基本は経膣分娩ですが、以下のような場合は、帝王切開で赤ちゃんを産むことになります。
逆子の場合は、赤ちゃんの体の中で一番大きな頭が最後に出ることになるので、危険な出産となります。当院では帝王切開を選択しています。昔は手でおなかを押して逆子を正常の位置に戻したりしましたが、現在は危険だということで行っていません。
◆陣痛から出産後まで
以下の用語をお産が始まって進んでいく順番に並べてみましょう。
正解は、以下のとおりです。
- 前駆陣痛(ぜんくじんつう)…規則的な子宮の張り
- 産徴(さんちょう)…少量の出血で「おしるし」ともいう
- 陣痛
- 子宮口全開…直径10cmほど
- 破水…前期破水する人もいます
- 排臨(はいりん)…頭が見え隠れする状態
- 発露(はつろ)…頭が絶えず見えている状態
- 児娩出(じべんしゅつ)…出生時間となります
- 臍帯切断(さいたいせつだん)
- 胎盤娩出(たいばんべんしゅつ)
- 後陣痛(こうじんつう)…出産2〜4日後、陣痛のようなおなかの痛みがある場合がある
◆ホームページもご覧ください
当院の産婦人科・総合女性医学健康センターでは、妊娠や出産などについて、ホームページ「洛和会音羽病院 マタニティー」で詳しく説明しています。ぜひ一度、ご覧ください。