概要は以下のとおりです。
◆あなたの目の前で突然、大切な家族や友人が倒れたら…
まずは、呼び掛けます。⇒ 反応がなければ、すぐに119番通報しましょう。
それ以外にも、症状が“普段と違う”と直感したときは、ためらわずに通報しましょう。
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このほかにも、意識障害(意識がない、もうろうとしている、ぐったりしている)や、けいれん、けが・やけど、冷や汗を伴うような強い吐き気、飲み込み(のどに詰まらせた、変なものを飲み込んで意識がない)、事故などの場合は、重大な病気やけがの可能性がありますので、ためらわずに119番通報してください。
子どもの場合も、大人の場合と同様の意識障害やけいれん、事故、飲み込みや、じんましん(虫にさされて全身にじんましんが出て顔色が悪くなった)、乳児の様子がおかしい場合などは、ためらわずに119番通報してください。
◆こんな時は、ちょっと待ってください
大切な119番通報ですが、なかには首をかしげるものも少なくありません。「歯が痛い」「風邪をひいた」「熱がある」「救急車だと待たずに診察してもらえる」「救急車はただだから」…といった理由で119番する方もいるのが実情です。実際に救急車で搬送された人の約半数が、入院を必要としない軽症です。119番通報が増えた結果、救急車の到着時間が以前の平均6分から、8〜10分に延びています。本当に必要な人に1分でも早く救急車が到着するようにご協力をお願いします。
◆心肺蘇生(CPR)とは
心臓や呼吸が止まってしまった人に対して、胸骨圧迫(心臓マッサージ)や人工呼吸を行うことで、脳のダメージを最小限に抑えるために実施する一連の方法です。119番してから救急車が来るまでの平均時間は8分間(全国平均)です。心臓と呼吸が止まってしまった人に対して、この8分間の間、何もしない場合の救命の可能性は15%です。一方、倒れてから2分後までに心肺蘇生などの救命措置を行った場合の救命の可能性は50%です。心肺蘇生(CPR)の仕方をぜひ覚えて、いざという時に備えましょう。
◆手当ての流れとポイント
- 反応・意識の確認:
声を掛け、肩をたたき、意識の有無を確認します。「反応がない」「うめき声」「名前・年齢が言えない」場合は、落ち着いて119番通報を。電話は切らずに119番の指示で手当てを行いましょう。周囲の人に協力してもらい、AEDを持ってきます。 - 呼吸の確認:
胸とおなかを見て、落ち着いてゆっくり確認してください。見てもよく分からなかったら、息をしていないと思ってください。 - 胸骨圧迫:
胸の真ん中(乳首と乳首の中間)を押して心臓マッサージを行います。1分間に30回以上、「強く・早く・絶え間なく」行ってください。
<注>やわらかいベッドの上などでは、圧迫の力が逃げてしまいます。ベッドから床に移すか、ボードなど硬い板を背中に敷いて胸骨圧迫を行ってください。頭が心臓より高いと脳への血流が減少するので、仰向けに平らに寝かせて行います。また、絶対に人を相手に圧迫の練習をしないでください。乳児は乳児用の心臓マッサージを行います。 - 人工呼吸:
胸骨圧迫の合間に、1回1秒かけて行います。顎先を持ち上げて鼻をつまみ、口に軽く息を吹き込みます。心臓マッサージ30回のあと、人工呼吸2回を行いますが、うまく吹き込めない場合は、省略して構いません。胸骨圧迫だけでもOKです。
救急車が到着するまで、AEDによる救命を行います。
- AEDの電源を入れる:
種類によっては、ふたを開けると自動的に電源が入るタイプもあります。あとは、AEDの音声指示に従ってください。 - 電極パッドを貼る:
すごく毛深い人の場合は、うまく電流が流れない可能性がありますので、パッドを一度貼ったあと、はがして2枚目をもう一度貼ってください。 - AEDが心臓のリズムを自動的に診断します:
「ショックの必要あり」なら、音声メッセージの指示に従ってショックボタンを押してください。「ショックの必要なし」なら、すぐ胸骨圧迫を再開します。 - 心臓マッサージ:
音声の指示に従って、心臓マッサージを行います。電極パッドは付けたまま行ってください。
◆窒息
食べ物をのどに詰まらせた場合、次のような症状を呈します。
- 声を出さず、もがき出したり、首をかきむしる。
- 息をしているが、「ゴロゴロ」や「ヒューヒュー」といった呼吸の音がする。
- 唇が紫色になってきた。
<窒息の応急手当>
反応があるとき:
助けを呼び、119番通報するとともに、異物の除去を試みます。咳をしている場合は、咳をできるだけ続けさせます(咳は異物の除去に最も効果的です)。かまれることがあるので、指を突っ込んではいけません。
◆誤飲
誤飲の原因はさまざまです。以前はタバコの誤飲が最多でしたが、最近は、薬や医薬部外品を誤飲する方が多くなっています。このほか、おもちゃや金属製品、プラスチック製品、硬貨、食品類、洗剤・洗浄剤、電池、文房具などがあります。近年、お菓子のゼリーに形がよく似た洗剤を誤飲する例が増えています。ご注意ください。誤飲したタバコや電池、洗剤の対応は以下のとおりです。
◆おわりに
救急車が到着する前に、できることがあります。「救命の連鎖」で家庭内でも、近所でも、お互いが助け合いましょう。あなたの勇気が命を救います!