2015年08月17日

らくわ健康教室
「食中毒にならないために気をつけること 〜つけない・ふやさない・やっつけよう〜」

6月4日開催のらくわ健康教室は、「食中毒にならないために気をつけること 〜つけない・ふやさない・やっつけよう〜」と題して、洛和会音羽病院 感染防止対策室 師長で感染管理認定看護師の井内 律子(いうち りつこ)が講演しました。

概要は以下のとおりです。

ブログ用IMG_6966.jpgはじめに

食中毒とは、原因となる細菌やウイルスが付着した食品や有毒・有害物質が含まれる食品を食べることによって起こる健康被害です。多くの場合、嘔吐・腹痛・下痢などの胃腸症状を起こし、頭痛や発熱も伴います。
食中毒予防の3原則は、細菌やウイルスを「つけない・ふやさない・やっつける」です。集団感染に目が向きやすいですが、家庭でも発生しています。ご注意ください。

※以下の画像は全てクリックすると大きいサイズで見ることができます。

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食中毒について

日本では毎年、何件くらいの食中毒が発生し、何人の患者が出ていると思いますか? 2014(平成26)年の統計によれば、発生件数は967件、発生患者数は19,355人でした。ノロウイルスやカンピロバクターなどが原因のことが多いです。

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細菌とウイルスの違いは、以下のとおりです。

  • 細菌:
    食品の中で増殖する微生物。
    高温、多湿を好むものが多く、栄養(水分、養分、温度、炭酸ガス)があればどこでも増殖可能。
  • ウイルス:
    食品中では増殖できないが、体内で増殖する微粒子。
    気温が低く乾燥すると活発になり、生体細胞に寄生して増殖する。

予防3原則その1「つけない」

  • 手洗い:
    食事の準備のときには、必ずせっけんと流水で手を洗いましょう。手洗い後にしっかり手を乾燥させることも大事です。
  • まな板を清潔に:
    まな板は、定期的に次亜塩素酸ナトリウム(キッチンハイターなどの塩素系漂白剤)で消毒しましょう。熱湯をかけて消毒する方法も効果的です。調理は、まず生の野菜から、次に肉や魚を調理します。牛乳パックを肉や魚用のまな板がわりに使うのも効果的です。

予防3原則その2「ふやさない」

大腸菌などの場合、1個の細菌が2個に分裂するのに、およそ30分かかります。2個が4個、8個…と増えて、1億個を超えるのに13時間30分、半日少しで、こんなに増えてしまいます。
調理後は、すぐに食べましょう。冷蔵庫での一時保管は過信しないでください。

予防3原則その3「やっつける」

肉は、中心部をしっかり加熱します。中心温度が75℃で1分以上の加熱が勧められています。

家庭でできる食中毒予防の6つのポイント

  1. 食品の購入:
    消費期限などの表示をチェックしましょう。肉や魚を買ったときは、ビニール袋に入れ、それぞれ分けて包みます。できれば保冷剤(氷)などを入れましょう。寄り道せずに早めに帰宅しましょう。
  2. 保存:
    帰宅したらすぐに冷蔵庫に入れましょう。冷蔵庫の中の物は7割くらいまでにしましょう。冷蔵庫は10℃以下に維持します。冷凍庫は−15℃以下に維持します。肉や魚は、汁がもれないように包んで保存します。扉の開け閉めにも注意しましょう。
  3. 下準備:
    冷凍食品の解凍は、冷蔵庫で行います。時間がない場合はレンジを使用しましょう。冷凍庫から外に出して常温による解凍はしないでください。小まめに手を洗いましょう。タオルや布巾などは新しいものに変えます。野菜もよく洗いましょう。肉や魚は、野菜など生で食べるものから離します。肉や魚を切ったらまな板を洗って熱湯をかけます。ゴミは小まめに捨てましょう。
  4. 調理:
    調理の前には手を洗います。加熱は十分に行いましょう。目安は中心の温度が75℃で1分以上です。電子レンジを使うときは、均一に加熱されるようにします。調理を途中でやめたら、冷蔵庫に入れます。台所は清潔にしましょう。
  5. 食事:
    食事の前には手を洗います。盛り付けは、清潔な食器や器具を使います。長時間、常温に放置しないようにします。
  6. 残った食品:
    時間が過ぎたり、ちょっとでも怪しいと思った食品は思い切って捨てましょう。作業前に手を洗い、清潔な器具・食器を使い、早く冷えるように小分けします。温めなおすときは、十分に加熱してください。

主な食中毒菌とウイルス

代表的な食中毒菌やウイルスを紹介します。

<病原性大腸菌>
人や動物の糞便に汚染された食品が原因となります。2011年4月、焼肉店で集団食中毒事件(ユッケなどを食べた181人が発症し、5人が死亡)が発生したことを機に、国は同年秋以降、ユッケなど生食用牛肉の提供基準を厳格化し、翌年夏からは、生食用牛レバーの提供・販売を禁止しました。焼肉屋さんでは、生肉と野菜などは近くに置かず、焼くときは必ずトングを使いましょう。

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<カンピロバクター>
ニワトリやウシ、ブタなど動物の消化管内に住み着いています。食品や水とともに、ヒトの口から入り、腸内で増えて下痢などの症状を起こします。ニワトリの生肉やレバ刺しなどを食べて食中毒になった場合は、この菌が原因と考えられます。

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<サルモネラ>
自然界のあらゆるところに生息し、ペットや、ブタ、ニワトリ、ウシなどの家畜が保菌しています。

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<ノロウイルス>
ノロウイルスの特徴は、以下のものが挙げられます。

  • 毎年冬になると流行する
  • 主な症状は吐き気、嘔吐、下痢
  • 腹痛や微熱、悪寒、頭痛、筋肉痛、倦怠(けんたい)感などの症状を伴うこともある
  • 突然発症することが多く、症状は1〜2日で自然に消滅することが多い
  • 健康な成人であれば、それほど恐れる必要はない
  • 幼児、高齢者、免疫力が低下している人では、嘔吐や下痢で失った水分を補うことができず、脱水症状に陥る危険性がある
  • 特効薬はない。脱水に気を付けて対症療法(吐き気止め、整腸剤など)で症状が治まるのを待つ
  • 嘔吐による誤嚥性肺炎にも注意が必要(重症肺炎になる恐れがある。窒息にも注意)

ノロウイルスに感染しても症状が出ない「無症状保菌者」が2〜3割いるのも特徴です。せっけんと流水で手を洗い、しっかり乾燥させましょう。

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おわりに

食中毒の予防に、手洗いは欠かせません。せっけんと流水による手洗いや、速乾性手指消毒剤によるアルコール消毒も有効です。手洗い後の乾燥も忘れずに。

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ほかのらくわ健康教室の記事はこちら⇒らくわ健康教室 講演録3

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