2016年02月05日

らくわ健康教室「毎日の食事とお薬 〜気になる食べ合わせ、飲み合わせ〜」

6月30日開催のらくわ健康教室では、「毎日の食事とお薬 〜気になる食べ合わせ、飲み合わせ〜」と題して、洛和会音羽病院 薬剤部 主席課長で薬剤師の三浦 誠(みうら まこと)が講演しました。

概要は以下のとおりです。

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はじめに
皆さまは、ご自分が飲んでおられる薬のことを、どこまでご存じですか? 飲み忘れたときや、副作用について知っていますか? 本日は、薬の働きやリスク、食べ物との相性などについてお話しします。

薬の働き
薬は、主に自然治癒力を助ける働きをし、病気やけがから早く元の健康な状態に戻します。また、病原菌を殺したり(抗生物質)、病気にならないように予防する薬(ワクチン)もあります。ほとんどの薬は、対症療法(例えば、熱が出たら下げる)のための薬です。
ただし、薬は効果(主作用)とそれ以外の作用(副作用)があり、使い方を誤ると、ただの危険物にしかなりません。くすり(クスリ)は反対から読むと「リスク(危険)」であることを理解する必要があります。
薬は、化学物質+情報です。「適応症は」「効果は」「副作用は」「禁忌事項は」「保存法は」「使用方法は」「相互作用は」…といった情報が一体となって薬の作用を支えています。

副作用が起きる主な原因
  1. 薬の成分がもつもともとの性質
  2. 薬を正しく使用しなかった
  3. 自分の体調や体質
  4. 薬と飲食物との飲み合わせ(相互作用)
  5. 薬と薬の相互作用 など
飲み合わせとその理由
「飲み合わせ」は、食べ物や飲み物によって薬の効き目が変わることですが、薬同士でも飲み合わせは起こります。薬局などでもらう説明書には「相互作用」と書かれていることもあります。
薬は一般に、小腸で吸収されて血液の中に入り、体内を巡ります。肝臓で分解され、役目を終えたら大腸や腎臓から出て、体外に排出されます。飲み合わせとは、その過程で、飲食物が薬の吸収を邪魔したり、薬とよく似たものが混じったり、薬を分解する酵素の量を変えたりすることで起こります。
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薬は、どの飲み物で飲みますか?
水かぬるま湯で飲みましょう。このことは、実は多くの人がご存じですが、実際には知っている人の約6割が、水以外の飲み物で飲んだ経験をもっているという調査があります。
水以外の飲み物で薬を飲んだ場合、
  • お茶=薬の効き目が弱くなることがある
  • 牛乳=薬が効くのに時間がかかりすぎることがある
  • コーラ=カフェインが効きすぎて、眠れなくなることがある
  • ジュース=果物や野菜の成分は効き目を変えてしまうことがある
などの影響が出ます。特にいけないのは、お酒で薬を飲むことです。
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飲み合わせの具体例 
  • 牛乳
    抗生物質(レボフロキサシンなど)や骨粗しょう症薬(アレドロン酸など)の効きを悪くします。牛乳に含まれるカルシウムが薬とくっついて、吸収が悪くなるからです。同様に、カルシウムを豊富に含む飲み物や食べ物(チーズ、魚介類、ヨーグルト、豆腐、厚揚げなど)と一緒にとるのも、吸収が悪くなる飲み合わせとなりますので、薬と時間をずらして食べるなどの工夫をしましょう。
  • グレープフルーツ(ジュース)
    血圧を下げる薬や、コレステロールを下げる薬、免疫を抑える薬などと一緒に飲むと、薬が効きすぎることがあります。肝臓で薬を分解する際、酵素の働きを邪魔するため、いつまでも体内に薬が残るからです。
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    ほかのかんきつ類はどうか?
    ⇒薬の濃度が上がらない…温州みかん、バレンシアオレンジ、レモン
    ⇒濃度が上がる可能性がある…スウィーティー、ぶんたん(ポメロ)、ダイダイ(ビターオレンジ)など
  • 青汁
    ワーファリン(血液をサラサラにする薬)の効果を減らします。青汁に含まれる大量のビタミンKが、薬の働きを邪魔するためです。
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  • 納豆
    青汁と同様、ワーファリンの効き目を悪くします。納豆に含まれる大量のビタミンKが、薬の働きを邪魔します。
  • カフェイン飲料
    かぜ薬、解熱鎮痛薬(カフェインを含むもの)の効き目を強くし過ぎます。カフェインの摂取量が過剰になるためです。カフェインが脳を過剰に刺激すると、頭痛やめまい、興奮、ふるえ、動悸(どうき)などの症状が出ます。特に子どもは要注意です。海外では、子どもにカフェイン飲料を禁じている国もあります。
市販のかぜ薬 その1
降圧利尿剤(尿を出して血圧を下げる薬)と一緒に飲むと、偽アルドステロン症が生じることがあります。市販のかぜ薬には、甘草(かんぞう)という成分が含まれているためです。偽アルドステロン症の主な症状は、手足のだるさ、しびれ、つっぱり感、こわばり、筋肉痛などです。

市販のかぜ薬 その2
ワーファリンと一緒に飲むと、出血が止まりにくくなります。アスピリンの影響です。アスピリンには、熱を下げたり痛みをとる作用以外にも、血をサラサラにする作用があるためです。

市販のかぜ薬 その3
糖尿病治療薬と一緒に飲むと、血糖値を下げすぎてしまうことがあります。これもアスピリンの影響で、アスピリンには血糖値を下げる作用もあるからです。低血糖になると、動悸や息切れ、冷や汗などの症状が出ます。

市販のかぜ薬をほかの薬と一緒に使うときは、医師や薬剤師にご相談ください。

花粉症の薬
睡眠薬と一緒に飲むと、眠気が強くなります。花粉症の薬にも、眠気を誘う成分があるからです。
ちなみに、飲み合わせではありませんが、多くのかぜ薬には、鼻水などの症状を抑える抗ヒスタミン薬が含まれています。抗ヒスタミン薬の副作用で、眠気が生じる場合があります。これらの薬を飲む場合は、乗り物や機械類の運転操作をしないでください。

お薬手帳の役割
お薬手帳は、病院でも薬局でも、ご自身にとっても役に立ちます。
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かかりつけ薬局を利用しましょう
かかりつけ薬局では、薬歴を管理してくれます(どんな薬を飲んでいたか、どんな薬でアレルギーが出たのかなど)。また、薬の飲み合わせや、薬の重複を確認してくれます。同じ薬局(薬剤師)に相談することで、自分の体質を知ってもらえるようになり、市販薬の選択をしてもらえたり、健康管理をしてもらえたりします。
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