2016年09月23日

らくわ健康教室「冬のお肌トラブル 〜乾燥肌は病気のもと〜」

2015年12月17日開催のらくわ健康教室では、「冬のお肌トラブル 〜乾燥肌は病気のもと〜」と題して、洛和会音羽病院 皮膚科 医長で医師の清水平 ちひろ(しみずひら ちひろ)が講演しました。

概要は以下のとおりです。

5635.jpgはじめに
本日は、冬のお肌トラブルとその対処法について、乾燥肌を中心にお話しします。

冬のお肌トラブルって?
冬になると、しもやけや、肌の乾燥によるかゆみ、むずむずを訴える方が増えてきます。
しもやけは、寒さで血管が収縮して、血流が悪くなると起こります。足の指が赤くパンパンに腫れてくることが多いです。かゆみや痛みも出ます。
乾燥肌によるかゆみやむずむずは、たとえば下着のゴムのあたりがかゆいといった症状となって現れます。

乾燥肌って何?
乾燥肌とは、乾燥によって皮膚の水分が失われてしまった状態をいいます。イメージとしては、日照りで干上がった地面のようなものです。
正常な皮膚は、外側から皮脂膜、角質層、顆粒層、有棘層、基底層が、0.2〜0.5mmの厚さを構成しています。この薄い膜が、皮膚の下にある栄養分などを守っていますが、年齢とともに薄くなり、80歳代以降は5分の1程度まで減って、乾燥肌になります。皮脂膜がなくなると、角質層が乾いて割れ始め、角質層がめくれると、皮膚の中にある水分や栄養分が、隙間から抜け出してしまいます。

※以下の画像は全てクリックすると大きいサイズで見られます。
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乾燥肌の原因は、加齢のほかにも、季節的要因や生活習慣、疾患などが関係しています。季節的には、秋から冬にかけて空気が乾燥し、室内暖房をする結果、角質内の水分量が夏の6分の1まで減ってしまうというデータがあります(20歳代の女性を対象にした調査)。生活習慣では、洗い過ぎも影響します。入浴の際、皮脂膜を落とし過ぎると乾燥肌の原因になります。そのほか、糖尿病で透析を受けている患者さまなど、ほかの疾患が原因で乾燥肌になる場合もあります。

乾燥肌ってどうなるの?
皮膚が乾燥すると、皮膚のバリア機能が低下します。その結果、外からの刺激に敏感になり、衣服がこすれるだけでもかゆみを感じるようになります。
乾燥肌は、服を脱ぐと白い粉が舞う程度から、放置すると肌のひび割れが進み、ひどくなると、どこもかしこもひび割れし、お風呂に入るとひりひりと痛い状態(皮脂欠乏性湿疹)となります。そうなる前に、乾燥肌のお手入れが必要です。
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乾燥肌のお手入れは?
毎日の保湿が重要です。保湿剤には、ローションやクリーム、軟膏があり、保湿効果や使用感に差があります。
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保湿剤の使い方
秋・
冬は軟膏がおすすめですが、顔などべたつきが気になる場所はローションやクリームタイプでもかまいません。
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保湿剤の塗り方
保湿剤は、たっぷりと乗せるように塗ること(ティッシュが1枚くっつく程度)を心掛けてください。特にお風呂上がりは、皮膚の表面の油膜がないので、角質層の水分が急速に失われていきます。早急に塗ることで、乾燥を防いでください。

まとめ
  • 乾燥は、皮脂欠乏性湿疹の始まりです。
  • 湿疹は万病の元です。皮膚のバリア機能が低下することばい菌が入ることがあります
  • 保湿することで、湿疹を予防できます。
  • 毎日の保湿が重要です。
  • 皮脂欠乏性湿疹になったら、皮膚科を受診しましょう。
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質疑応答から
肌の健康に、コラーゲンは効果がありますか?
コラーゲンを食べても、基本的には体内でアミノ酸に分解されてしまうので効果はありません。塗った場合も、保湿効果はありますが、吸収はされません。コラーゲンを摂ることで、肌のコラーゲンは直接的には増えません。
軟膏は1日に何回も塗ったほうが良いのですか?
塗り薬は、肌が粉をふいていなければ、1日1回で十分です。でも、乾燥が厳しくて肌から粉が舞うような人は、塗る回数を増やすか、脂分の多い塗り薬に代える方法があります。皮膚科医に相談してください。



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