概要は以下のとおりです。

傷には、外傷から床ずれまで、さまざまなものがあります。形成外科で扱っている疾患は、救急外傷では、切断指や顔の外傷、顔面骨骨折、体表の外傷などがあり、慢性期の傷では、褥瘡(じょくそう:床ずれ)や難治性潰瘍(糖尿病性潰瘍・壊死(えし)など)があります。
◆傷の治り方
動物には自然治癒力があり、ほとんどの傷は自然治癒します。では、傷はそのまま皮膚がはってきて治れば良いのでしょうか?
例えば、指が切断で取れてしまった場合、傷の断端は閉じますが、切断された指はくっつきません。まぶたの上の傷の場合、何もしなくても傷は閉じてきますが、眉毛が上がらなくなり目が開きにくくなります。自然治癒力にも限界があります。
◆救急の外傷は、まず元の位置に戻すことが大事
切断された指でも、くっつく可能性があります。指が見つかったら、
- さらっと汚れを落とす
↓ - 水で湿らせたガーゼやハンカチなどでくるむ
↓ - 清潔なビニール袋に入れる
↓ - 周囲を氷水で冷やしながら病院へ
(このとき、切断された指が直接氷水に触れないように注意してください。切断された指が凍傷になるからです)
⇒ 切断された側の指の処置方法 ※患部の写真が掲載されています。
指が見つからない、またはつぶされて粉砕されてしまった場合は、骨が飛び出した状態であれば傷は閉じないので、残っている皮膚で閉鎖が可能な部位まで骨を切除し、傷を閉じます。
指の長さをできるだけ残したい場合、残存した軟部組織に、人工真皮といわれるコラーゲンの含まれた膜を縫い付けて肉を盛らせることで長さをできるだけ保つ方法があります。ただし、伸ばせる長さは3〜5mm程度です。それを超えるだけの骨が突出していれば、その分の骨は切除します。
◆顔の外傷
顔の外傷には、擦り傷や切り傷、顔の骨折(鼻骨骨折、頬骨骨折など)、耳介(じかい)の裂け傷があります。
⇒ 擦り傷 ※患部の写真が掲載されています。
⇒ 救急の外傷はまず元の位置に戻すことが大事 ※患部の写真が掲載されています。
顔の骨折には鼻骨骨折や頬骨骨折、上顎(じょうがく)骨折などがあります。鼻骨骨折は、主に形態が変形すると予測される際に手術となります。頬骨骨折は、形態の異常および頬の神経障害、開口障害(口が開きにくくなる)がある場合、手術となります。上顎骨折では、咬合(こうごう)不全(咬み合わせが悪くなる)が起こる可能性が高く、手術となります。
手術は受傷後2週間以内が望ましく、疑いがある場合は早めに受診してください。2週間を超えると、骨折部位の周りの組織がくっついて骨が動かなくなるからです。
耳の裂け傷では、耳介の軟骨および皮膚を縫合します。できるだけ元の位置に縫合すると、比較的形態も良好に保たれます。
◆体表の外傷
⇒ 体表の外傷 できるだけ元の位置に戻すことが大事 ※患部の写真が掲載されています。
◆慢性期の傷
慢性期の傷とは、床ずれや難治性潰瘍などを指します。腫瘍や外傷、神経障害、感染、代謝異常、血管障害、血液疾患など、何らかの原因で皮膚への血流障害が起き、皮膚の脆弱化が起きる結果、長期間治らない傷になります。
指が見つからない、またはつぶされて粉砕されてしまった場合は、骨が飛び出した状態であれば傷は閉じないので、残っている皮膚で閉鎖が可能な部位まで骨を切除し、傷を閉じます。
指の長さをできるだけ残したい場合、残存した軟部組織に、人工真皮といわれるコラーゲンの含まれた膜を縫い付けて肉を盛らせることで長さをできるだけ保つ方法があります。ただし、伸ばせる長さは3〜5mm程度です。それを超えるだけの骨が突出していれば、その分の骨は切除します。
◆顔の外傷
顔の外傷には、擦り傷や切り傷、顔の骨折(鼻骨骨折、頬骨骨折など)、耳介(じかい)の裂け傷があります。
⇒ 擦り傷 ※患部の写真が掲載されています。
⇒ 救急の外傷はまず元の位置に戻すことが大事 ※患部の写真が掲載されています。
顔の骨折には鼻骨骨折や頬骨骨折、上顎(じょうがく)骨折などがあります。鼻骨骨折は、主に形態が変形すると予測される際に手術となります。頬骨骨折は、形態の異常および頬の神経障害、開口障害(口が開きにくくなる)がある場合、手術となります。上顎骨折では、咬合(こうごう)不全(咬み合わせが悪くなる)が起こる可能性が高く、手術となります。
手術は受傷後2週間以内が望ましく、疑いがある場合は早めに受診してください。2週間を超えると、骨折部位の周りの組織がくっついて骨が動かなくなるからです。
耳の裂け傷では、耳介の軟骨および皮膚を縫合します。できるだけ元の位置に縫合すると、比較的形態も良好に保たれます。
◆体表の外傷
⇒ 体表の外傷 できるだけ元の位置に戻すことが大事 ※患部の写真が掲載されています。
◆慢性期の傷
慢性期の傷とは、床ずれや難治性潰瘍などを指します。腫瘍や外傷、神経障害、感染、代謝異常、血管障害、血液疾患など、何らかの原因で皮膚への血流障害が起き、皮膚の脆弱化が起きる結果、長期間治らない傷になります。
- 床ずれ
床ずれができる原因は、体重による圧力(骨の突出した部位に圧がかかる)や、引っ張り力(体位変換で引っ張られる)、剪断(せんだん)力(座位保持をしていてもだんだんずり落ちる)が挙げられます。
⇒ 右側を下に横たわった状態。左のおしりを支えるときに引っ張られることで、床ずれがひどくなります ※患部の写真が掲載されています。
床ずれを予防するためには、こまめに体位変換を繰り返すことです。ベッドのマットも硬すぎないものを使い、体を動かすときには床ずれの周囲を引っ張らないように動かすことが大事です。全身状態が良ければ、手術で床ずれ部分を閉鎖することも可能です。 - 難治性潰瘍
難治性潰瘍の治療には、V.A.C フォームという特殊な治療剤を用いたV.A.C.ATS治療システムを用います。傷の保護、肉芽形成、滲出(しんしゅつ)液と感染性老廃物の除去を図り、創傷治癒を促進させる方法です。
⇒ 難治性皮膚潰瘍の治療 ※患部の写真が掲載されています。 - 糖尿病性足壊疽(えそ)
原因は、糖尿病に伴う動脈硬化による血流障害です。糖尿病性神経障害により、痛みがないため、傷に気付きにくいのが特徴です。傷は、細胞が生きていけるだけの血流がなければ治りません。治療は、血流の状態を検査し、壊疽が進行しないように行います。血流が良ければ、傷は治ります。血流が悪ければ、傷が治る適切な部位で切断することが大事です。
⇒ 糖尿病性足壊疽 ※患部の写真が掲載されています。
糖尿病性神経障害に伴う傷を予防するためには、血や滲出液が付着した際にわかりやすい色の靴下(白色など)を普段から履き、傷に気が付ける環境をつくることが大切です。
◆全体のまとめ
- 急性期の深い傷はできるだけ元の位置に戻すことが大切です。
- 切断された指はガーゼで覆ってから袋に入れて、氷水で冷やしながら持ってきてください。
- 顔の骨折が疑われる場合は、手術可能な期間は2週間以内であるため、早めに受診してください。
- 床ずれは予防が大事です。体を動かす処置時には、支える部位に気を付けて行いましょう。
- 糖尿病性神経障害のある人は、傷に気付きやすい色の靴下を普段から履きましょう。
上記に限らず、傷で悩んでいることがあれば、気軽に洛和会音羽病院 形成外科を受診してください。
◆質疑応答から
形成外科と整形外科、口腔外科の診療範囲の違いは?
整形外科は、骨や筋肉など体の内部の運動器を中心に診るのに対し、形成外科は手や足など体の表面を中心に診ます。口腔外科との違いは、下顎の骨折などは口腔外科が、上顎から上は形成外科が主に診ます。整形外科、口腔外科と重なり合う部分もあります。
日常生活で指切断が多く発生する事例は?
バイクのクラッチに指をはさんで切断したり、日曜大工でチェーンソーを使用中に切断してしまうケースが多いです。工場事故もあります。
床ずれ予防には柔らかいマットが良いのですか?
硬すぎてはだめと言いましたが、体は沈みすぎるとかえって良くないため、柔らかすぎてもいけません。床ずれは仙骨・背中・後頭部に起きやすいです。こまめな体位変換で少しずつ体を動かしてあげてください。なかでも脊椎損傷の人は、痛みの感覚がないため、30分に1回は体を動かしてあげてください。
◆質疑応答から





