2016年03月03日

らくわ健康教室「あなたにとって食事とは何ですか?」

9月9日開催のらくわ健康教室では、「あなたにとって食事とは何ですか?」と題して、洛和ヴィラ桃山 管理部の管理栄養士 谷 直美(たに なおみ)が講演しました。

概要は以下のとおりです。

1561.JPGはじめに
食事をするという行為には、体を成長させる、体を動かす・維持するなどの機能があります。今回は、私が勤める特別養護老人ホーム
洛和ヴィラ桃山の食事も紹介しながら、「なぜ食事をするのか?」について考えてみます。

栄養素の種類と働き
食品の栄養素を体の機能別に分けてみると、「主に体の組織をつくる」「主に体の調子を整える」「主にエネルギーとなる」に大別されます。

※以下の画像は全てクリックすると大きいサイズで見ることができます。
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1日に、何をどのくらい食べる?
「食事バランスガイド」をもとに、1日に必要な食事量について説明します。
  • 主食
    炭水化物を栄養素とするエネルギー源です。おにぎり1個を「1つ」分の単位とします。
    食パン1枚=1つ、ご飯中盛1杯=1.5、スパゲッティー=2つ、うどん=2つに相当します。
    1日にこの主食を5〜7つ分、食べましょう。
  • 副菜
    ビタミンやミネラル、食物繊維を栄養素とし、体の調子を整えます。
    野菜サラダ=1つ、おひたし=1つ、みそ汁=1つ、野菜炒め=2つに相当します。
    1日に5〜6つ分、とりましょう。
  • 主菜
    肉や野菜など、たんぱく質を栄養素として、体の組織をつくります。
    ハンバーグ=3つ、鶏肉から揚げ=3つ、豚肉しょうが焼き=3つ、焼き魚=2つ、天ぷら=2つ、目玉焼き=1つ、冷奴=1つ、枝豆=1つです。
    1日に3〜5つ分、とりましょう。
  • 牛乳・乳製品
    ミネラルやたんぱく質を栄養素に、体の組織をつくります。
    牛乳コップ半分=1つ、チーズ1片=1つ、ヨーグルト1パック=1つです。
    1日あたり2つ分、とりましょう。
  • 果物
    ビタミンCやミネラル、炭水化物を栄養素に、体の調子を整えます。みかん1個=1つ、りんご半分=1つ、桃1個=1つです。1日に2つ分、食べましょう。

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お口の体操
食事の前に、お口の体操をすると、食べやすくなります。次のような順番で9つの運動を行います。
  1. 鼻から息を吸って、口から吐きます
  2. ゆっくり5つ数えながら、首を左右にねじります。次に左右に倒します
  3. 口を大きく開けて、「あー」「んー」と言います
  4. 同様に、「うー」「いー」と言います
  5. 口を大きく開けて舌を出し、上唇をなめます。次に口の両端をなめます
  6. ほほを膨らませます
  7. くしゃみをします
  8. 大きな声で「パ、タ、カ、ラ」と言います
  9. 息を鼻から吸って口から吐きます
食べるために必要な条件は? 
  • 姿勢保持力
    適切な姿勢での摂食は、誤嚥(ごえん)のリスクを軽減します。  
  • 食べられる口
    清潔(誤嚥性肺炎を予防する)
    保湿(口腔内が乾燥していると、飲み込みにくく、むせやすい)
    唇の開閉(食物を口腔内に保持する)
    顎(あご)の開閉(食物を噛み砕き食塊を作る)
    顎の筋肉(舌と頬の協調運動により食物を歯列上に乗せる)
    舌の機能(飲み込み時に食物を送り込む)
  • 摂食・嚥下機能
    以下の機能が1つでもできないと飲み込めなくなります。
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  • 消化・吸収・排泄機能
    胃・小腸で、栄養素を体内で利用しやすい状態に変換します。
このように、食事は口だけでなく、全身の動きによってなされるのです。

食事をなぜ残すのか
食事で一番大事なのは、食欲があることです。食欲がなく、食事を残すようになってきたときは、原因を探ってみます。

<考えられる要因>
以下のような要因がないか、点検します。
  1. 咀嚼(そしゃく)・嚥下機能の低下
  2. 嗜好
  3. 義歯の不具合
  4. 心理的要因
  5. 麻痺(まひ)の有無
  6. 不適切な姿勢
<対策>
以下のような対策を行います。精神的な面も含め、さまざまな視点から見る必要があります。
  1. 体位の調整
  2. 環境面の整備
  3. 食形態の工夫
  4. 嗜好(しこう)に応じた食事の提供
  5. 食具の工夫
洛和ヴィラ桃山での取り組み
洛和ヴィラ桃山は特別養護老人ホームです。80人が入所されており、ショートステイも20人が利用されています。食事は、「常食」「一口」「刻み食」「ソフト食」「ペースト食」の5種類です。「常食」は、一般のご家庭と同様の形態です。「一口」は、常食を食べやすい大きさにカットした形態です。「刻み食」は、かみ砕く力の弱い方を対象に、細かく刻んで提供します。バラけてしまいがちなので、とろみをつけたりして、食べやすいよう工夫もします。「ソフト食」は、ある程度咀嚼(そしゃく)する力はあっても飲み込む力が弱い方に、「ペースト食」は、咀嚼する力・飲み込む力が弱い方に提供させていただいています。噛まずに飲み込めるよう、とんかつソースほどの硬さをイメージして作られています。
また、楽しみながら食べていただく工夫も重ねています。「お食事会」や「居酒屋」も開き、ご家族にも参加していただいて楽しく食事します。利用者さまと一緒におやつを手作りしたり、日常の生活に近づける工夫もしています。
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おわりに
食事は、人を健康にしてくれます。それだけでなく、食は人の心の状態も表します。人と人とのつながりを表すものでもあります。食事が、皆さんの体や心の栄養になってほしいと願っています。
あなたにとって、食事とは何ですか?

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