〜特に40歳以上の方に!〜
洛和会音羽病院 感染症科 兼務 総合診療科
部長 神谷 亨(かみや とおる)
破傷風はワクチンで予防できる病気の1つですが、残念ながらあまり知られていないのが実情です。
破傷風は、土の中にいる破傷風菌が、手足の傷口から体内に入り、増殖した菌が神経毒素を出すことで発病します。その神経毒素は、勝手に筋肉を緊張させる作用があり、口の周りの筋肉が緊張しっ放しになることで口が開けられなくなったり(開口障害)、食べ物が飲み込めなくなったり(嚥下〔えんげ〕障害)、ひどい場合は全身に痙攣(けいれん)を起こします。早期に治療を行えば命に別条はありませんが、時には治療が間に合わず命を落とすことがあります。
国内の破傷風患者数は1950(昭和25)年に1,915人、死亡1,558人と、かつては致命率が高い感染症でした。1952年に破傷風のワクチン(破傷風トキソイド)が導入され、さらに1968年に3種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風)の定期接種が開始されてからは、患者数、死亡者数は減少していきました。しかし、日本から破傷風がなくなったわけではありません。ここ数年、約70〜120人の破傷風患者が報告され、約5〜10人が亡くなっています。抗体保有率(血液検査上、破傷風を防ぐための免疫力を持っている人の割合)が40歳以上で大きく低下することから、患者さまの多くは中高齢者です(2008年の調査では患者さまの90%以上が45歳以上)。40歳以上の成人に特にお勧めしたいワクチンです。
予防接種は、破傷風トキソイドという安全性の高いワクチンで、基礎免疫をつけるための計3回と、その後約10年ごとの追加接種(破傷風トキソイドの有効期間は約10年間であるため)で行います。そのほか、手足にけがをした時も、医師の判断で破傷風トキソイドの接種を勧められることがあります。年齢や予防接種歴により接種法が異なる場合がありますので、詳しいことは医師にご相談ください。
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(『おとまるクン』2009年7月号より)
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