2009年07月21日

破傷風トキソイド

〜特に40歳以上の方に!〜

洛和会音羽病院 感染症科 兼務 総合診療科
部長 神谷 亨(かみや とおる)

0907hashofu破傷風はワクチンで予防できる病気の1つですが、残念ながらあまり知られていないのが実情です。

破傷風は、土の中にいる破傷風菌が、手足の傷口から体内に入り、増殖した菌が神経毒素を出すことで発病します。その神経毒素は、勝手に筋肉を緊張させる作用があり、口の周りの筋肉が緊張しっ放しになることで口が開けられなくなったり(開口障害)、食べ物が飲み込めなくなったり(嚥下〔えんげ〕障害)、ひどい場合は全身に痙攣(けいれん)を起こします。早期に治療を行えば命に別条はありませんが、時には治療が間に合わず命を落とすことがあります。

国内の破傷風患者数は1950(昭和25)年に1,915人、死亡1,558人と、かつては致命率が高い感染症でした。1952年に破傷風のワクチン(破傷風トキソイド)が導入され、さらに1968年に3種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風)の定期接種が開始されてからは、患者数、死亡者数は減少していきました。しかし、日本から破傷風がなくなったわけではありません。ここ数年、約70〜120人の破傷風患者が報告され、約5〜10人が亡くなっています。抗体保有率(血液検査上、破傷風を防ぐための免疫力を持っている人の割合)が40歳以上で大きく低下することから、患者さまの多くは中高齢者です(2008年の調査では患者さまの90%以上が45歳以上)。40歳以上の成人に特にお勧めしたいワクチンです。

予防接種は、破傷風トキソイドという安全性の高いワクチンで、基礎免疫をつけるための計3回と、その後約10年ごとの追加接種(破傷風トキソイドの有効期間は約10年間であるため)で行います。そのほか、手足にけがをした時も、医師の判断で破傷風トキソイドの接種を勧められることがあります。年齢や予防接種歴により接種法が異なる場合がありますので、詳しいことは医師にご相談ください。

お問い合わせ・ご予約
予防接種を受けるには・・・
予約センターを通じて予約してください。
洛和会丸太町病院
 予約センター 0120(489)244
 総合診療科  075(801)0351(代)
洛和会音羽病院
 予約センター 0120(489)300
 総合診療科  075(593)4111(代)


0907otomaru (『おとまるクン』2009年7月号より)
「おとまるクン」は患者さま・利用者さま向けの広報誌です。健康管理や病気の治療に関する解説を中心に、医療・介護施設の紹介やイベント情報などを掲載しており、毎月1日に発行しています。
洛和会ヘルスケアシステムの各施設の入り口にラックを設置し、自由に持ち帰っていただけるようになっていますので、来院・来所された際にはぜひ手にとってご覧ください。

■広報誌「おとまるクン」についてのお問い合わせは
アールプランニング TEL 075(593)7789 まで



2009年06月18日

MRワクチン

〜2回接種が標準に!〜

洛和会音羽病院 小児科 医員 中原 宏(なかはら ひろし)

私が研修医のころ、はしかが大流行し、10歳の女の子が意識障害で入院しました。診断は麻しん脳炎。麻しんワクチンを接種しておらず、母親が泣きながら付き添っていた姿は今でも忘れられません。

MRワクチンは、麻しん(はしか:Measles)と風しん(3日はしか:Rubella)の予防接種が混合されたワクチンで、1回の接種で両方の抵抗力をつけることができます。
麻しんは高熱が出てから全身に発疹(はっしん)が出現、脳炎(1,000人に1人の確率)や重症の肺炎を合併するなど、命の危険を伴うこともある怖い病気です。
風しんは、発熱とともに全身に発疹が出たり、首などのリンパ節がはれる病気です。妊娠中にかかってしまうと、赤ちゃんの耳や心臓や目に障害を起こしてしまう、やはり怖い病気です。
麻しんは、2007年に大学生に流行したように、1回だけの予防接種では、免疫のつきにくい人がいたり、時間がたつと抵抗力が弱くなることが分かってきました。日本では2006(平成18)年度から、麻しん・風しんワクチンは2回接種に変わっています。世界でも一生のうちに2回接種するのが一般的です。
2回接種の時期、対象者は表の通りです。該当する人は、定期接種のため無料で接種できます。表に該当しない人(接種し忘れ、対象年齢を超えているなど)も、自費で接種可能です。MRワクチンは、可能な限り2回接種することをお勧めします。アレルギーや副作用など、不安のある方は気軽に医師に相談してください。
麻しんはいつ流行するか分かりません。かわいいお子さんを麻しん・風しんから守ってあげるのは保護者の義務と思ってください!

定期接種MRワクチン対象者 2009(平成21)年現在

1回目 1期 1〜2歳までの幼児
2回目 2期 小学校に入る前の学年(幼稚園年長)
2回目(※) 3期 2009(平成21)年度の中学1年生
4期 2009(平成21)年度の高校3年生

0906shoninakahara※2回目3期、4期は平成20年〜24年までの5年間のみ施行。この学年は幼稚園年長の学年で行う2回目のMRワクチン(2期MR)を制度上受けられなかったので、救済的に接種できることになりました。

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高校生以上…総合診療科での接種
中学生以下…小児科での接種

洛和会音羽病院 小児科
予防接種外来:毎週水曜日 午後2時〜午後4時
母子手帳・認め印をお持ちください。


0906otomarukun (『おとまるクン』2009年6月号より)
「おとまるクン」は患者さま・利用者さま向けの広報誌です。健康管理や病気の治療に関する解説を中心に、医療・介護施設の紹介やイベント情報などを掲載しており、毎月1日に発行しています。
洛和会ヘルスケアシステムの各施設の入り口にラックを設置し、自由に持ち帰っていただけるようになっていますので、来院・来所された際にはぜひ手にとってご覧ください。

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